Kiriko Diary

何でもない普通のブログです。暇つぶしにでもどうぞ。

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カメラマン

カメラ教室で出会った男性。
教室のプログラムが終わり、一段落して暫く間があいた。
すると、ある日メールが届いて開いて見ると、送信者はその男性。

この男性とは、以前教室が終わった後に一緒にお茶をしてメアドを交換した。メアドを交換したのは、この男が立場上さして害が無いとわかっていたからだ。

来たメールを読んで見ると、「写真を撮っていますか?」という事だった。
年長者の歳下あるいは弱い者を気遣う様子。流石に期間が空いているので写真を撮る機会が無いことを気遣って腕が鈍ることを心配してくれているのだろう。「今度一緒に写真を撮りに行きましょう」ということになった。

日にちは日曜日。場所は人混みの多い横浜中華街。時間は昼間のランチの時間。
ゴッタ返す人々で、前を歩く人々の隙間を縫って歩き、何処をめざすともなく暫く歩くと、撮影なんてことは頭の中から無くなっていた。しかし、この男性、いい場所を見つけたのだ。写真撮影にしても良し、ちょいと一休みするのも良し、横浜では最も古い老舗ホテルのロビー。2階を上がると、結婚式の打ち合わせをする人に学生ブラスバンドの練習をする一団がいた。

そのロビーの片隅にあるソファーに腰掛け、2人で写真を見せ合った。この男性はもう何十年も写真を撮り続けているプロである。あたしは一眼レフカメラを手にして3ヶ月のカメラの「カ」をやっと知り始めた人。2人でああでも無いこうでも無いとあたしは写真のアドバイスを受けながら、彼の写真の説明を聞いていた。しかし、いつもの事ながらその男性は、然程写真技術について詳しく突っ込んで教えてくれるワケでも無い。それはそうだろう。何十年もプロとして培ってきた技術技能を、アッサリと持っていかれるワケには行かないのだ。

話もソコソコ1、2時間した後、サッと辺りを歩いて男性は写真を1、2枚撮り、2人でホテルを出た。外はもう昼真っ盛りの時間。昼食も中盤あたりに差し掛かる時間だった。当然あたしたちもランチの場所を探した。どの中華料理店の前も長蛇の列ができている。

この男性は数年ぶりに中華街に来たという。中華街の変貌に多少驚いていた。あたしも彼此20年ぶりぐらいだろうか。とはいえ、さして大きな変化は無いと思った。人を掻き分け縫って歩くがレストランは見あたらない。その男性お勧めレストランだった。「この角を曲がった路地にあるハズ」という男性の言葉を追って路地を進むと、長蛇の列の中程にその中華料理店を見つけた。最後尾まで行くと店から店員が出て来て「ここまでがランチのご用意が出来る順番です」と丁度目の前の年配の女性のところで手を出して示して、そこから後ろの人はランチの用意が無いことを説明した。もうとっくに午後1時を過ぎていた。

それから更にランチが出来る場所をグルグルと探しあぐねて、ようやく辿り着けたのはローズホテル重慶飯店。そこは北朝鮮共産党書記長金正恩氏もオススメであるとツイッターで知り、話題作りにそこでランチをすることにした。午後2時半を回っていた。それでもまだ20分ほど待たないといけなかった。

ランチの間の話といえば、台風の話、救助の話、親の話、とランチにしては重い話ばかりで、特にパッとした話はなかった。一つ言えることはこの時間にしてもヤムチャは頼まなかったということだ。つまりこの男性もお腹が空いていたのだろうと思う。が、立ち回りが悪い。予約も無い上に、人を掻き分けて進む間、その男性に対してなんとも手際の悪さを感じていた。

ランチを済ませると、既に午後4時半近く。それでも暫く外に出て写真を撮りながら、よもやま話をしていた。「どんなタイプの人が良いの?世話をよく焼きそうだね」と言われた。歳上の男これだから困る。女性を世話係としか「考えていない」。別に男の世話を焼くために生きているわけでは無い。自分の人生のために生きているのだ。私の人生と照らし合わせた場合、この男性は、失格。あまりの手際の悪さと立ち回りの悪さには閉口する。

「私はあたしの生活が乱されるような人はダメですね。特に母親に気を遣ってもらって世話を焼いてもらって育った人はダメです。」

そういうと、この男性は「母親に世話を焼かれて育った男はダメか・・・」と呟いた。
夕陽を見送り自宅に戻ってきた。それ以降この男性からメールが来ることはない。